加藤俊徳(かとう としのり)
生命科学理論学・脳機能生理学・脳画像・光脳計測の専門家。小児科専門医。医学博士。
1995年より小川博士(T2*強調画像法によるfMRIで日本国際賞受賞)の導きによりミネソタ大学MR研究センターに在籍、アルツハイマー病や老化などヒトの記憶系機能に係る海馬の生理的活動など高次脳機能をfMRIで研究。
6年間の苦心の末、光で脳の働きを照らす光機能画像法原理とfMRIの計測原理上の決定的な相違をみいだし、NIRS-ImagingとfMRIを結ぶヘモダイナミック・ブリッジ理論を導いた。(図3・論文)
この決定的な相違が、脳の静脈反応を見ているfMRIと、脳の毛細血管反応も抽出できる光機能画像法原理であった。脳の静脈反応は、脳反応ではなく、脳外反応で、脳の反応ではなかった。その結果、110年以上、脳血流を計測する上で、神経細胞が酸素を取り込む脳酸素反応を計測できていないことに気がつく。
2001年、米国で、21世紀に入り、シェリントン博士(シナプスの発見でノーベル医学生理学賞受賞)らの提唱した19世紀から信じられてきた神経と脳血流のドグマの欠陥を解明し、生命現象を虚数iによって記述する「酸素交換波動方程式」を発見した。生命現象が酸素交換のマイクロマシーンとして定式化された。酸素交換によって成り立つ生命体が、実世界に対して虚の世界を持つことを、実測値によって証明された。これにより、1991年、光で脳の働きを照らす光機能画像法原理が、酸素交換機能を計測するCOE計測法として完成された。COEとは、脳酸素交換機能マッピング、Cerebral mapping of Oxygen Exchangeである。
この「酸素交換波動方程式」によって、脳の精神活動の定量計測が実現した。脳の酸素交換を、ナノレベルより小さい分子の波動現象と捉えた。現在、波動力学のシュレジンガー方程式と「酸素交換波動方程式」との共通項の研究に従事する。
一方、医師としては、独自の脳画像の鑑定技術を作り上げ、15年以上にわたる脳のリハビリテーションのためのセカンドオピニオン(コンサルテーション)に従事。
最近では、社会問題となりつつある自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、ADHDなどの原因となる知的障害(Intellectual disturbance)とコミュニケーション障害(Communication disorder)を結ぶ「I.C.理論」を確立して、従来決定的な原因説明が出来なかった軽度発達障害の原因病巣を発見する。これが、脳発達にかかわる形態機能疾患「海馬回旋遅滞症Hippocampal Infolding Retardation : HIR」である。
現在、医療・脳科学的見地から、脳の文化を創るため、個人の脳機能特性を知るMRIとCOE(図4)を基礎研究と実践によって、社会に幅広く普及する活動と後継者の育成を行っている。一見、植物状態に見える患者でも、MRIとCOEによって、脳の働きから教育・学習効果が計測できるようになっている。
プロフィール:
14歳、スポーツを通じて、脳の働きの重要性を直感して医学部を目指す。
(参考:加藤俊徳:少年の目的意識. 月刊『道徳と特別活動』文溪堂、pp2-3, 5月号,2004)
1991年、国立精神神経センターにて、光(近赤外線)を懐中電灯のように頭皮上から照らして、役割の異なる脳領域の機能的な血液反応を画像化する原理(光機能画像法、NIRS-Imaging)を発見する(図1)。表面コイルを使ったMRスペクトロスコピー, 脳画像MRI, 脳血流の分布画像SPECTの子どもの発達研究の成果、新生児・小児医療の体験が総合して,この飛躍的なアイデアが生み出された。
1977年、Jobsis(米国)の発明による直進光による光CT法とは異なった計測原理で、「光機能画素」を定義して、脳酸素飽和度のモニターからベッドサイド脳酸素交換機能画像法へブレークスルーを起こした(図2)。この光機能画素をサンプリングする基本技術が、日本で生まれた新しい脳活動計測法として、脳計測装置を生み出し、脳神経活動や血流代謝、また筋肉代謝のベッドサイド代謝機能マッピングに発展し世界中で用いられるようになった。
以後、この光で脳の働きを照らす原理を完成に導くために、研鑽を継続する。同年、MRIを使った脳内白質線維の機能画像法の基礎原理を考案し、MRIの祖(P.C.ローターバー博士、2003年、ノーベル医学生理学賞受賞者)に見出される。